金属表面は、機械加工・研磨加工・熱処理・洗浄等種々の加工履歴により、加工変質層・汚染層・吸着層に覆われています。製品が常に安定した表面品質が得られているかを迅速に評価し、客先への品質管理レポートを作成できます。
コロナサーフの洗浄管理への応用例
SUS304基板上の黒鉛汚染と油汚染の識別
黒鉛と油では初期電位Viが大きく異なり、また電気特性が異なるためdV特性が異なります。従って、汚染の種類の違いをdV-Vendマップから識別することができます。PVD成膜前のSUS630部品の精密洗浄後のコロナサーフ特性マップ
PVD成膜前の精密洗浄において正常品はdV-Vendマップにおいて1カ所に収束するのに対し、不良品はその不良要因に従ってdVまたはVendの異常(シフト)が見られます。ラインにおいて品質管理の有効な手段と考えられます。(正常品はマップで1ヶ所にまとまるのに対し、不良品は不良要因によって特性値がずれる)
軸受用鋼材のコロナサーフによる表面清浄度評価
研削加工後に防錆油保管したSUJ2およびSUS440C鋼材を、有機溶剤(ジクロロメタン)超音波洗浄をおこなった後アルコール(IPA)にてリンスし乾燥させた試料を、各18個コロナサーフ測定を行った結果を右に示します。
また縦軸の初期表面電位は、SUS440Cでは不動態被膜の形成により安定な(電気化学的には貴な、仕事関数としては大きな)方向、すなわちグラフ上でSUJ2と比べ下にきます。
SUS440C試料の1 個は何らかの原因で異常値が見られ、表面に汚染が残留していることが推測されます。
上記実験にて洗浄したSUJ2試料に、各種汚染(指紋・クレ5-56・油性切削油)を付与しコロナサーフ測定を行った結果を右に示します。
所見
SUS440Cは、表面にCr酸化物の不動態被膜が形成されるため、表面電位シフト(横軸)はSUJ2と比較して正側に大きくなります。また縦軸の初期表面電位は、SUS440Cでは不動態被膜の形成により安定な(電気化学的には貴な、仕事関数としては大きな)方向、すなわちグラフ上でSUJ2と比べ下にきます。
SUS440C試料の1 個は何らかの原因で異常値が見られ、表面に汚染が残留していることが推測されます。
上記実験にて洗浄したSUJ2試料に、各種汚染(指紋・クレ5-56・油性切削油)を付与しコロナサーフ測定を行った結果を右に示します。