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表面電位とは何か? コロナサーフで何を測っているのだろうか?

ケルビンプローブによる振動容量法で測定しているのは一体何なのでしょうか?
異なる金属表面を接触(電線でつなぐ) させた時、二つの金属表面に異なる電荷が現れます。
この帯電による電位差を接触電位差(Contact Potential Difference) と呼びます。
接触電位差は二つの金属の仕事関数(表面から電子を奪うために必要なエネルギー)の差になります。
つま り仕事関数の小さい金属の表面から大きい金属の表面へ電子が移動することによって電位差が発生します。
実際の測定は、 非接触で試料表面から数mmの距離でプローブ電極(金Auめっき)をピエゾ素子で音叉のように振動させ、電極間の静 電容量を変化させた時に発生する交流電流を測定し、その電流をゼロにするような直流電圧を接触電位差の出力として利 用します。
このようにコロナサーフで測定される表面電位はプローブ電極(金)と試料表面の相対的な電位差です。
つまりどの物 質(表面)が金(Au)に対してどのくらい電子を出しやすいか、受け取りやすいかを測定しているわけです。
こうした電子授受能は、仕事関数のほかに標準電極電位(標準酸化還元電位)E°であらわされます。
E°は実験値ではなく熱力学 データから計算された理想値です。
コロナサーフで測定される初期電位Viと標準電極電位E°の関係を図3に示します。
これは市販の圧延金属板を購入してアセトンでよく拭いた後5分経過後の測定です。
現実の金属表面は汚染や分子吸着、 酸化、加工変質層などさまざまな状態にあるため理想値は期待できませんが、Vi とE°の間には良い相関が見られます。
E°が負側であるほど(例えばAl,Mg)電子を放出しやすい(酸化しやすい)ためVi(金電極との電位差)は正側に大 きくなります。